超ウルトラスーパーAVアイドルプロダクション AV業界の頂点に立った男の真実の物語 12

AVのプロダクション業務は、性を売り物にするというマイナス面に目を瞑れば、これほど楽して稼げる美味しい仕事はない、と思えるほどだ。
まだその事に気付いている人が少なく、AV業界が嫌がられているうちに、この業界において不動の地位を築かなければならない、と思った。

 今や松岡と二人で部屋にいる時は、まるで自己啓発セミナーや、話し方教室の指導者と生徒の様であるが仕方がない。
こうした基本的な事こそが、大事なのだと、私は思う。
成功へのスピードを劇的に速める為には、今暫くは、それまでとは立場を変え、こうして恋人から、指導者と生徒という立場に変えるより他ないだろう。なあなあになるというか、馴れ合いでいい加減に適当に済ませる事は決してならないのである。
私は松岡に、私が持っているありったけのグラビア業界の知識を教え、また、毎日のその日の仕事内容や出来事を、詳しく聞かせてもらい、一つ一つに細かく丁寧にアドバイスした。
そしてマネージャー業務や、タレント側からの立場や意見などを、また事細かにアドバイスした。

こうすることで、所属するタレント側の気持ちも理解し、スタッフにも気に入られ、デキる奴と思われ、最低限決して使えないマネージャーだと思われないようにしなければならない。タレント側に、《この人マネージメント業務が分かってない素人なのでは》 と思われては、嘗められて馬鹿にされてしまうだろう。
ましてやタレントを不安にさせるなど、以ての外である。マネージメント側は、例え分からない事があっても、タレントを不安にさせない為には、知ったかぶりさえも、しなければならない。
もしタレントが、不安になり仕事を辞めるなどと言い出しては、事務所に大変な損害を与えてしまう事になる。
AVプロダクションにとっては、タレントこそが、貴重な財産なのだ。
さらにタレントを徹底的にガードし守る事により、タレントや事務所のクオリティを上げる事にもなるのだし、そうして媒体やメーカー側からも、嘗められない様にしなければならないのだ。

松岡は毎日、まるで学校から帰って来た小さな子供が母親に話すかの様に私に、事細かに何時間も、その日の出来事を話してくるのだった。
おそらく、この業界の右も左も分からない中、私だけが頼りなのだろう。
松岡を、不安にさせてはいけない。
そして私は松岡を不安にさせない為にも、この様な立場でいる方が彼にとって良いのだと考えた。
松岡に、転職という大博打をさせた事を、後悔させない為にも、今はこうするしかないのだ。
甘えは絶対に許されない。
今が人生で一番大事な時なのだから。
また、倫理に囚われている暇もなかった。
私達には、これに賭けた以上、今は眼の前の事に、全力で挑むしかなかったのだ。

とにかくある程度成功するまで、それまでの間だ。
今ここで、松岡にいかにうるさがれ様とも、私が彼を指導し、スピード成功させるしかないのだ。

勿論ここまで来た以上、何があろうとも、とことん最後までやるつもりである。
しかし私にはタレント業務もあるのだし、ずっとこのまま松岡に掛かりきりで指導していくよりは、この際突貫工事で、全力で短期間に一気に進め、マネージャー業務やプロダクション業務を完璧に覚えてもらい、早くこの業界で成功して欲しい。
そして一刻も早く指導者役から解放されたかったし、ここは短期集中型でスピード勝負でいくしかない。
私達には、時間がないのだ。
これが私達の立場が180度変わった瞬間であった。