Epilogue Part 12 【内調】内閣情報調査室

Epilogue Part 12
【内調】内閣情報調査室

すると、K氏は、
『 まず、今すぐに新しいIDが必要なのであれば、総務省の人工統計局の知人に僕が頼めば、失踪宣告がされている者の情報から戸籍を掘り起こして簡単な者を作る事は出来ますけどね。これは公安関係者もよく使う方法なのですが。』と言ったのだ。

そこで私はK氏に
『それはいったいどういう事ですか?』
と尋ねると、K氏は、
総務省の人工統計局が失踪宣告の情報を管理しているのですが、ある者が行方不明などになり、所在や生死が不明のまま一定の期間、普通は7年の失踪期間を過ぎると、法律上では死亡したものとみなされるのです。
そしてそれが大人の場合であれば、7年の失踪期間を過ぎても、単に借金や不倫などの理由により夜逃げしていたというだけで、後々見つかる場合はよくあるのです。
しかし、15才未満の子供の場合は、よほどの不良でも無い限り、7年の失踪期間を過ぎた場合、ほぼそうした子供達が生きて戻る事は無いのですよ。
そして、そうして行方不明などになり失踪
している子供は、一般には知られていないだけで、実は日本にもけっこういるのです。

然しながら、そうした子供の親の中には、失踪後7年以上が経過しているにも拘らず、役所や周囲の意見も聞かずに、【失踪した子供が生きていていつか戻るかも知れない。】からと言って、頑なに死亡届けを出さない親もけっこういるのです。
そうした家庭の、15才未満で失踪してから7年以上が経過している子供の戸籍を、IDを作る為の掘り起こしの素材として使うのですよ。
こうして失踪してから7年以上経っているにも拘らず、親や親族から死亡届けが出されていない者の戸籍を総務省の人工統計局から取り寄せて、その戸籍を公安等の諜報員のIDとして使うという方法はよくある事なのです。
これを【戸籍の掘り起こし】というのですがね。
まあ、そうした7年の失踪期間を過ぎていて尚かつ、死亡届が出ていない戸籍を、また更に全く別の地域に転居させなければならないのですがね。

但し、一般の人がそんな物を掘り起こそうとしても、親族等に役所から連絡される可能性がありますが、僕らの場合ですと、こっそりとそうした戸籍を掘り起こして全く別の地域に住民票を転居出来るのですよ。
地方の役所の中にも公安の協力者は大勢入り込んでいますからね。

そうして転居させて戸籍や住民票を転居させてしまえば、もうそのままその掘り起こした戸籍を使えますからね。
このやり方の方が、戸籍を新しく作るよりも、手っ取り早いのですよ。
また、そうした失踪者の中には身寄りの無い者もいますしね。
総務省の人工統計局の者であれば、こうした【戸籍の掘り起こし】にピタリと当てはまる素材はすぐに見極めてピックアップ出来ますからね。ですから、この方法ならば完璧なのですよ。』
と言ったのだ。

だが私は、
『 そうした失踪者というのは恐らく死んいる人という事ですよね。
いくらほぼ死んでいるに違い無いからと言っても、まず、亡くなっている人の物を使うという事何自体が、何だか気持ちが悪いというか、気分が良い物では無いですよね。
それを一時的に使うという目的なのであれば、【それでもいいかな。】とは思いますが、どうせならば、やはり真新しい、アメリカのFBIの証人保護プログラムの様なオーダーメイドでなければ完璧とは言えないと思いますけど。
それに、それをずっと使っててその失踪者の親族等が後々現れたら私も対処に困りますし。』
と言ったのだ。
だが、K氏は、『まあ取り敢えず、それで様子を見てみてみなさいよ。』
と言って、総務省の人工統計局からそうした15才未満で失踪してから7年以上が経過している失踪者の戸籍を、取り敢えず3件をピックアップして、そこから一応その中から1つピックアップして戸籍謄本を見本として作ってくれたのである。
それを見て私は、【何これ、これではまるっきり本物ではないか。戸籍謄本に、ちゃんと市町村のマークや透かしも入っているではないか。】
と、驚いたのだ。

それからK氏は、
『 内調【内閣情報調査室】の部長と協議した結果、通常、天皇陛下の【ご落胤】であれば、しきたりとしてそれ相応の額が降嫁時に出るとの事です。

例えば紀宮様には、実際には10億円の持参金が降嫁時に渡されたのです。

勿論、一般には皇室からの降嫁時の持参金は、1億数千万と言われていますが、やはり、天皇の孫として恥ずかしく無い暮らしぶり、身に着ける物もそうですが、天皇の孫として品位を保って頂かなければならないのです。
そしてそうした品位を保ち、天皇の孫として相応しい暮らしをする為には、そんな額では到底やっていけないのですよ。
何しろ、宮様は、節約生活など当然一度たりともした事は無いのですからね。

仮に1億円としても、そこから50年生きるとしても、年間にすると200万円くらいになってしまう訳ですよ。
それでは民間の平均年収の何分の1になってしまいますからね。

それにそうした方は、お立場的に、世間一般で大々的に儲けたりする事はしてはいけないという決まり、つまり禁忌事項があるのです。

何故かというと、まず、皇室から民間企業に利益誘導していると世間一般から思われかねないからです。
そうすると国民達が怒りますよね。

その上、その会社が大きな負債をしたまま、倒産騒ぎなどをおこしてしまっては、日本中で大騒ぎになって、天皇家にその恨みや批判の矛先が向く可能性もありますからね。

その代わりに、そうした怪しさはない色々な協会の名誉総裁等の仕事は回ってきますけどね。
まあそうは言っても、それらはアルバイト程度にはなりますが、そうした仕事で大儲けする事などは決して出来ませんからね。

皇室から降嫁されても、やはり一般人とは違い、色々とそうした制約がある訳ですよ。
そうした制約をキチンと守って、天皇家に間違っても批判の矛先が向く事の無い様にする為でもあるのです。

仮にもしそうした制約が無ければ、皇室から降嫁した方などには、詐欺師や詐欺まがいの者達が、そうした者達の会社や団体の表向きの顔や代表にしようとしていくらでも寄って来て、それこそ行列が出来てしまいますよ。

何故なら、詐欺師や投資会社などが、皇室から降嫁した方を代表にすれば、皇室を信用して騙されてしまう人達がいくらでも出て来る為、あっという間に大金が集金出来てしまうのです。

そうなれば、天皇家を信じて大金や全財産を預けた国民達から、あっという間に天皇家に怒りの矛先が向く事になるのです。

でも、もし皇室から民間人に降嫁してお金が無くなれば、皇室の権威を利用しようと企むそうした詐欺師や詐欺まがいの者達の口車に乗り、そうした者達からの申し出を受けてしまうでしょう。
だからといって、皇室にいた方達は世間知らずな訳ですから、そうした詐欺師等からすれば、皇室にいた方達を騙す事など簡単なのですよ。
ですからご本人達は全く悪気が無くても、そうした詐欺や犯罪に加担する事になってしまうのです。

といって、天皇家としても、
【降嫁した方は、民間人なので天皇家とは関係無いので責任が無い。】
等と声明しても、そうした皇室から降嫁された方が代表や表向きの顔になっている詐欺企業から大金や全財産を騙し取られた人達からしてみれば、皇室の方が代表や表向きの顔だから信用してしまったのだとして、いくら【現在は民間人だから。】と言ったところで納得出来ないでしょう。
そうなれば、皇室絡みの巨額の詐欺事件に発展する訳ですよ。

或いは逆に、皇室に批判の矛先を向ける為に、わざとそうした詐欺事件を引き起こす者達も必ず出てくるでしょうね。

ですから、その様な怪しい者達とは関わらないという制約の代わりに、天皇家の孫としての品位を保つ為の金額は当然必要ですし、そうした事態を避ける為に、それなりの金額、現在では、10億円という持参金が出るのです。
それにそのくらいの額は、税金など使わなくても、天皇家の財産で賄っても全く支障が無いのです。

それから僕が実際によく知っている話では、かつて天皇陛下が千葉の〇〇に静養する為に途中、大地主の家に立ち寄られたのですが、その家の主から、その家の主の娘を夜伽に差し出された事があったのです。
かつて日本では、そうして天皇陛下と関係を結ぶ事は終戦前までは、途轍もない名誉だったのですよ。

そして天皇陛下とは、ほんのちょっと立ち寄られたその間だけの間柄だったにも拘らず、そこの家のある場所というのは、とんでもない辺鄙な場所だったのですが、そこにそのお礼として、何と立派な鉄道を敷かれたのですよ。
そんなところにわざわざ鉄道を敷いたら、いったいどれ程の大金がかかった事でしょう。

そしてその主の持っていた土地は、自分の土地までずっと鉄道が敷かれたおかげで、ものすごく土地が値上がりした為に、その家の主は巨額の富を得たのですよ。
天皇陛下がほんのちょっとその家に立ち寄られただけでそれ程の礼をされたのです。
これは実話ですからね。
そしてこうした話は、一般の人達は知らない事ですが、終戦前では決して珍しい話では無いのです。

また、一般の人達は、天皇家の財産は全て国家の物であると思われていますけど、それでは天皇家や皇室の人達は皆、無一文という事になってしまいます。
その挙げ句、いくら皇室としての仕事をしても、全てがタダ働きという事になってしまうではありませんか。

ですが勿論、そんな事は有り得ない訳ですよ。
イギリスのエリザベス女王だってとてつもなく大金持ちですし、日本の天皇も、戦争が終わる前までは世界有数の大金持ちだったのです。
ですから天皇家の隠し財産は、実際にはいくらでも有るのです。

何しろ天皇家にある、お宝一つ売っても、もの凄い額になる訳ですから。
あなたも番組を見た事があるでしょうが、あの【開運 なんでも鑑定団】を見ていても、何十億もするお宝とか、沢山出てきたじゃないですか。
あんな物は天皇家には、どれ程あるか分からないくらいゴロゴロとあるのですからね。
10億円と言ったって、そうしたお宝の1品にもならない様な金額な訳です。
ですから、まさか宮様の降嫁時の持参金が1億いくらで、年間にすると200万円くらいなんて事は、一般人は信じているのでしょうが、終戦前までは、アジア一帯ほぼ全てが天皇家の財産であったのに、そんな馬鹿な事など有り得ないのですよ。
とは言え、それは勿論、天皇陛下の孫の代までであり、同じ皇室と言っても天皇陛下から数えて3世代目を越えている宮家では、そこまでの額は出ませんけどね。

ですが、あなたの場合は、お母さんがまず天皇陛下の【ご落胤】ですし、あなたは天皇陛下からの3世ですから。
そしてあなたは【あい】さんがその偉大な天皇陛下の奥様であった事や、あなたお母さんが【ご落胤】である事により、あなた方ご家族全員がこうして不幸な目に合わされた訳です。

ですから、内調【内閣情報調査室】の外事の部長は、あなた方家族の賠償金というよりも、昭和天皇の奥様である【あい】さんや【ご落胤】であるお母さんの事も含めて、本来ならば受けるべきである10億円を【あい】さんやあなたのお母さんの代表として、その天皇陛下の孫であるあなたにお渡しすると言ってました。

とにかく【天皇家では、3世までは天皇のお身内】という事に決まっているのです。
逆に言えば、4世以降、つまりあなたの次の代以降は、ほぼ関係無いという事になるのです。

そして更に、あなたが今後生きていく為に、そうしたアメリカのFBI証人保護プログラムによる新しいIDの様な物が無ければ、常に日本を恨み続ける者達から命を狙われ続けるという、真摯な危機を抱いているのであれば、そうした物を作らざるを得ませんよね。
確かに、そうした状況ではとても安心して暮らしていく事が出来ませんからね。

実際に皇室から降嫁された方も、一般人になるとは言っても、【天皇陛下から3世までは天皇陛下のお身内】な訳ですから、必ず数名のSP【ボディガード】が付くのですよ。
これも一般の人達は全く知りませんけどね。

またあなたが天皇の孫として、この日本でこれからそれを享受して生きていくのでは無く、日本から出て、海外で【アメリカのFBI証人保護プログラムによる新しいIDの様な物】により全くの別人として生きていく事が、ご自身たっての希望であるのであれば、怪しい者達とは決して拘らず、前向きに人生をやり直したいというのであれば、その10億円の他に、あなたが海外でやりたい事をサポートしましょうという事になったのです。

但しその時に色々と書面で約束して頂く事と、もう一つ条件があるそうです。
それは、あなたに天皇陛下と一度、実際に会って貰いたいのです。
ですが天皇陛下にお会いするには、お会いする場所を考えるなど色々と準備があるのですけどね。』
と、言ったのだ。

そこで私は、
『 何故ですか?私はこれからこの日本を出て海外で暮らしていこうとしている訳ですから、一刻も早く全てを終わらせてこの国から脱出したいのですよ。
そんな事をしていてはまた時間がかかりそうですよね。
それが心配なのですよ。
時間を節約する為にも、私としては今後、天皇家と関わるつもりも無い訳ですから、お会いするまでも無いと思いますので、そうした事は省きたいのですが。
それに実際お会いしても何をお話したら良いのか分かりませんから。』
と言ったのだ。

するとK氏は、
『あなたがお話する事が無くても、天皇陛下は色々とあなたにお尋ねしたい事があるとの事です。
私も内容までは分かりませんが、恐らくは【あい】さんの事ではないでしょうか。
何しろ、天皇陛下とは、陛下ご自身からご自身のお気持ち等を直接、側近の者達に言う事等はほとんど有り得ないのです。

ですから天皇陛下の側近の者達というのは、本来ならば、天皇陛下の心中を推察し慮り、或いは、暗黙の指示を察して事情や状況を考慮し、陛下の本旨を汲み取り、忖度して行動しなければならないのです。

然しながら、とにかく天皇陛下が直々にそう仰っている以上、もう、後は我々は、陛下にお会い出来る時を待つしか無いのですよ。
天皇陛下には、この国の例え誰であろうが、逆らう事は、出来ないのです。
それに天皇陛下は、あなたの血が繋がった叔父であり、あなたのお母さんのご兄弟でもある訳です。
とにかく、あちらからの話では、あなたが天皇陛下と会われてから、このお金の件でもGOサインが出るとの事なのです。
こうした事を終わらせるという、けじめという意味でもあるのでしょう。
僕からも早くお会いして頂ける様に伝えておきますから。』
と、言ったのだ。

その後K氏から連絡があり、
『八王子の高尾にある天皇陛下の御陵に、天皇陛下が参拝されるので、その時に天皇陛下がご休息される場所がその御陵にあるのですが、そこであなたにお会いしたいとの事です。』
と言われたのだ。

それで、私はK氏と中央線の高尾駅で待ち合わせをして、御陵まで一緒に歩いたのだ。
そして待ち合わせ場所にたどり着くと、一台の黒塗りの立派な車が近づいて来たのだ。
だが、その車はそこを一周してそのまま行ってしまったのだ。

それでK氏は、慌てて内調【内閣情報調査室】の外事の部長に電話をしたのだ。

すると、『彼女のスカート丈が短か過ぎた為に今回は延期になった。』
と、言われたというのだ。
それで私は、
『そんなの只の言い掛かりじゃないですか。
ミニスカートを履いて来た訳では無いですし、これでも私の服の中では保守的な方ですよ。
スカート丈だって、膝はちゃんと隠れてますし。』
と言ったのだ。

するとK氏は、
『でもあちらがそう言ってるんですからしょうがないじゃないですか。
然しながら、あちらもすっぽかしたりせずに、ちゃんと待ち合わせ場所に車を寄越した訳ですから。
本来は、あの車に乗った時にあなたはアイマスクを付けられる、つまり目隠しをされる事になっていて、天皇陛下の前でその目隠しが外される事になっていたのです。
ですが、今度は、天皇陛下が日野市の百草園という植物園に植物を観察しに来られる時に、また百草園の中にも天皇陛下がご休息を取る場所がありますので、そこの入口でまた黒塗りの車を待つ事になりましたから。』
と言われたのである。