#6 黒?国魔術?Part3無敵の黄金のピラミッド

#6 黒?国魔術?Part3無敵の黄金のピラミッド

『 という事は、今も【 悪魔の皇太子】がいつも中山さんとご一緒という事ですか?』と私が驚いて尋ねると、『いや、今はもう居ませんよ。』と言ったので私は【 なんだ、いないのか!でも、『 今僕の横で、悪魔の皇太子も一緒に話を聞いてますよ。』などと中山さんに言われてしまったら、私は、あまりの事にビックリしてしまうかも知れないが。まあでも仮にもし一緒にいたとしても、『 ええ、今も隣に一緒にいますよ。』だなんて正直に言う訳無いものね。】

と私は、今は悪魔の皇太子は一緒にいないという中山さんの話を少し疑いながらも一応何故かと理由を聞くと、『【 悪魔の皇太子 】は、いい奴なんですけどね、睡眠の邪魔になるんですよ。』
それを聞いて私は、『 えっ?それは困りますよねえ!』と言うと、中山さんは、『 彼は眠らないから僕が寝てる間ヒマでしょうが無い、という身勝手な理由で、寝ている間も24時間絶えず話しかけて来るものですから、【 眠れないから静かにしてくれ。】と言ってけんかをしたんですよ 。』という。
そして中山さんは、『 一緒に居ると確かに凄く楽しいけど、これでは睡眠の邪魔をされてぐっすり寝ていられない。睡眠不足でこのままでは病気になるかも知れない。】と、だんだんイライラしてきて自分の健康が心配になりましてね。

そこで【 悪魔の皇太子 】に、『 悪いけど睡眠不足になるからもう出て行ってくれ。』と言うと、拒否されましてね。僕は、元々遊び半分で全く本気で信じていなかった上に、まさか儀式で本当にしかも【 悪魔の皇太子 】が自分に憑くなどとは想像もして無かったですし、はっきり言って金銭的にも恵まれているので何も願い事も無いですし、一緒にいれば楽しいんですけど、いくら楽しくても睡眠不足のままずっと過ごすのはキツいなと思い、集会に誘ってくれた友人に相談すると、ニューヨークで一番霊感の強いタロット占い師がいるからそこでアドバイスを受ける様にと言われましてね。
そこで早速そのタロット占い師の店に行きカウンセリングを受けると、占い師がタロットカードを手にした途端、いきなりカードが勝手に凄い勢いで2つに左右に分かれたんですよ。まるでポルターガイストのようにね。それでそのニューヨーク1の占い師はもの凄く驚いて、『 こんなに強い霊力は今まで見た事が無い。私の力では全く太刀打ち出来ないし、これでは私には何も出来無い。だが一つだけ方法が有る。それはこのペンダントを肌見離さず着けていればそのうちあなたから出て行く。』と言って、金で出来たエジプトのピラミッドの型をしたペンダントホルダーの付いたネックレスを出してきたんですよ。』と言ったところで私が中山さんに、『 いったいどんな因果関係があって、エジプトのピラミッドの型のペンダントを付けると悪魔が出て行くんですか?そのエジプトのピラミッドの型のペンダントを身に着けると悪魔が出て行くという相関性や意味が分からないのですが。 』と言うと中山さんは、『まあ、それはそうですが、他に方法も無いので言われた通りそのネックレスを購入して着けてみたんですよ。』と言うのだ。
私が、『 因みにそのペンダントの値段はいくらくらいだったんですか?』と参考の為に尋ねると、『 そりゃあ、金で出来てますからそれなりの値段はしますよ。』と言ったので、更に『 何十万円かくらいですか?』と尋ねると、中山さんは『 もちろんそれくらいはしますよ。』
と言ったのだ。
そうして中山さんがその購入したエジプトのピラミッドの型のホルダーのネックレスを身に着けていたら、数日後、【 悪魔の皇太子 】がもう話かけて来なくなり消えた様だというのだ。

中山さんは、『 今話した事は嘘偽り無く100%全て本当の話なんですよ。僕は幽霊や神は今でも全く信じていません。それは自分自身で実際に見た事が無いですからね。でも悪魔だけは信じる信じ無いの次元の話では無くて、普通にいるというか本当に実在するんですよ。まあ僕は実際にかなり長い間【悪魔の皇太子】と一緒に生活していたわけですからね。こんな神も幽霊も信じない現実主義者の僕が言うくらいですから、これで良く分かったでしょう。』
私は、『 でもそんなに気が合って面白い方で、神の如く偉大なパワーを持っている【悪魔の皇太子】と呼ばれる程の凄い方なら、出て行ってもらわずに一緒にいた方が楽しくていいじゃないですか?』と言うと、『 まあ僕は将来病院を継がなければならない身ですし、これといって特に願い事も無いですしね。もし願い事などが有るのなら階級が上のレベルの悪魔に限ってでしたら頼むのも悪くないと思いますよ。神同様、もの凄くパワーが有りますし、常に面白い事を探している明るい性格ですし、友達としても本当に楽しいですしね。但し全く遠慮しないで眠っている時も話かけて来ますからね。まあ彼らは睡眠を取らないから実際のところ、こちらが寝ている間はヒマでしょうし、しょうが無いんですけどね。悪魔が憑いて困った点は、僕の場合はそれぐらいかな。ああ、あと、彼らは英語でしか話せ無いので、英語だけは覚え無ければいけませんけどね。』
私は、 『なるほど。もし、悪魔を憑けて上手く行かなくなったら最悪の場合、ニューヨーク1のタロット占いの店で、金で出来たエジプトのピラミッドの型のネックレスを買って着ければいいんですよね? 』と聞くと、 『 まあ、そうですね。ただそのネックレスは金で出来てますからちょっといい値段はしますけどね。』と言ったのだ。
私は、 『では悪魔を憑けるリスクは、睡眠不足だけで、でもそれも金で出来たエジプトのピラミッドの型のペンダントを持っていれば大丈夫だし、ただしそれがいささか値段が高い事と、英語をマスターしなければ悪魔とコミュニケーションが取れない事だけですよね? 』と中山さんに尋ねると、『 まあ、そうですね。ただし彼と気が合えばね。』と、言ったのです。
私は【 何という事だろう!そんな不思議な事が事実で有り、悪魔を呼び出して自身に憑ければ、非常に強力な味方にもなり、また常に面白い事を探している様な明るく楽しい気質であるばかりで無く、中山さんにとっては親友にまでなっていたという。そんなに面白くて興味を惹かれる話が本当に有るだなんて。但し睡眠の邪魔をされたり、英語で無ければコミュニケーションが取れないというのが少々やっかいではあるが。でもよほど眠ければ少々話かけられたところで、眠ってしまうものでは無いだろうか?ペットを飼っている人や、小さな子供がいる人や、勤務時間が正反対のルームメイトがいる様な人達なら、睡眠時間を邪魔されるとかそんな事を気にする人など全くいないだろうと思われる程些細な問題では無いだろうか。そんなスーパーパワーを味方に付けるのに多少の睡眠障害があるくらい仕方が無いと思うのだけど。しかもどうしても上手く行かなければ、何故かは分からないが、金で出来たエジプトのピラミッドの型のペンダントを着ければ済む話なのだ。
【 それにしても一体何故【 金で出来たエジプトのピラミッドの型のペンダント 】が西洋のものであるはずの悪魔に対してそんなに力を持っているのだろうか?身に着けるだけで悪魔の皇太子が消えるくらいなら、はっきり言って無敵では無いか。そんなにエジプトのピラミッドのパワーは力があるのだろうか?もしかすると、映画に出て来る様なカトリックエクソシストの神父が使う十字架や聖水よりもパワーがあるという事なのだろうか?
全くエクソシストの神父に、『 金で出来たエジプトのピラミッドの型のペンダントを身に着ければ何もしなくても悪魔が消え去りますよ。』と、教えて差し上げたい程のパワーだ。もっともそうした映画は作り話だという事だし、もしくは低級霊や階級が下の悪魔の話であり、神のごとく頭が良い階級が上のクラスの悪魔とは全く関係の無い話であり、並べて話される事は甚だ心外であるという事であるが。】

こうした【 黒魔術 】と【 こく魔術?】の拘り様からいっても中山さんが嘘を言っているとは全く思えないし、本当の話だとすると、【 なんだ、そんな簡単に神のパワーを身に付ける事が出来るのか!】と、思ったのだが、よく考えてみると、英語をマスターしなければならないし、大丈夫だとは思うがやはり念の為、【 金で出来たエジプトのピラミッドの型をした些か高額なペンダント】を買うお金も用意しなければならないのだ。
とはいえ、中山さんはそのペンダントの値段をはっきりとは言わなかったけれどそれなりの値段はするとは言ってたし、純金製なら最低でも何十万円かはするはずだ。それに私がもし親に『 万が一、悪魔と上手くいかなかった時の為に金のピラミッドのペンダントを買うからお金を出して欲しい。』などと言っても絶対に断られるだろうし、15才の私が直ぐにおいそれと買えるものでは無いのだ。

私は、『その中山さんの金のピラミッドのペンダントホルダーが付いたネックレスって貸して貰ったり譲って貰ったりする事は出来ますか?』と中山さんに一応尋ねてみると、中山さんは、『 ああ、その金で出来たエジプトのピラミッドの型のホルダー部分が真っ二つに割れてしまったんですよ。まあその途端にその【悪魔の皇太子】が消えてしまったんですけどね。それなのでその割れてしまった金のピラミッドはその時処分してしまいました。』と言ったのだ。私は【なんだ、処分しちゃったのかあ、残念だなあ。】とがっかりした。


また、中山さんが自分自身の事を【 私は医学部にお金で入りましたし、勉強も嫌いですし馬鹿です。】などと余りにもいつも冗談っぽく言っているので、私は中山さんが、てっきり勉強嫌いで頭が悪いのかと思っていたのだが、よくよく考えると、例えお金で入ったとは言え一応は医大生なのだし、英語をマスターしてニューヨークに留学して普通に全て英語で授業を受けているという事は、もしかすると中山さんは馬鹿じゃないどころか頭が良いのでは無いだろうか。それに中山さんの出身高校であるラサール高校という高校も東大を目指す生徒ばかりの非常に有名な進学校らしい。私は、中山さんが自分でいつも勉強嫌いで馬鹿だなどと言っているのを真に受けてすっかり【 なんだ、簡単そうだなあ。】と思ってしまっていたのだ。

とにかく大金持ちで、月に300万円以上の小遣いを使いニューヨークに一年間以上留学していた医学生であり、神も幽霊の存在も全く信じず、また自分自身が実際に見たり経験した事以外は絶対に頑なに信じ無いという中山さんが、身を以てその黒?こく魔術?の【 極意 】を知り得た生き証人であり、そんな秘密を打ち明けてくれたのだからまず間違い無くこれは本当の話なのだ。とは言え、ニューヨークまで行って儀式をして呼び出さ無ければならない上に、英語をマスターするのもちょっと大変そうだし、あとは金で出来たピラミッドの型のペンダントが高そうなのが一番のネックといったところだろうか。その金のピラミッドのペンダント一つとっても中山さんみたいに小遣いが月に300万円以上ある人と違って私ではとても直ぐに買える訳じゃ無いし、今すぐどうこう出来る訳では無いしなあ。だが将来的に日本でいくら努力しても夢が叶わなかった時に、【こく魔術?で悪魔を憑ける 】事を、保険という言い方はおかしいかも知れないが、最後の手段としては最高の手段だろう。現実主義者の中山さんが、自らの体験談としてこれ程真剣に話してくれてる以上、嘘という事はまず有り得ないだろうし。

ちなみにその後、中山さんと良く遊んでいたこのクラブで、中山さんや店長に勧められ調子に乗り、中山さんに保証人になってもらって、この後に私はこのクラブを貸し切りパーティを開いたのだが、どういう経緯か、16歳の高校生である私が、この六本木と青山の中間に有るこのお洒落でカッコいいクラブで開いた貸し切りパーティの司会を、最近まで国会議員だった、超有名作家兼芸能人である田中康夫氏に依頼する事になり、引き受けて下さり、何とあの田中康夫氏に何故か16才になったばかりの私が主催する本来なら法律では18才以下は入る事が出来ないはずのクラブでのパーティーの司会をして頂いたのだ。ビンゴ大会の商品選びを友人に任せてたらかなりの高額になったりしてしまい、チケットも思う様に売れず、恐ろしい事に結局、何と100万円くらいの大赤字を出してしまったのだ。全くこれではあのニューヨークの金のピラミッド型のペンダントの値段よりも高くなってしまったかも知れない。
という事でこの店での事は、すっかり私の黒歴史になってしまったのだ。