超ウルトラスーパーAVアイドルプロダクション AV業界の頂点に立った男の真実の物語 7

それから私は松岡にグラビア業界の事を懇切丁寧に懸命に教えた。

またさらに、面接のシミュレーションを行い、私がたまたま聞いていた川井社長の裏話などを面接の時にちらっと話す様に伝えた。派遣会社Tスタッフの営業成績でも常に一位を取ってるのだし、一応は大学も出ているのでAV業界のマネージャーに応募してくる中では異色で群を抜いているだろうし、面白いと思われるであろう。

この業界は、でなくてもそうだろうが、"やる気のある奴" こそが一番好まれるのだ。これであふれんばかりのやる気を見せれば、必ず気に入られるだろう。こちとらこの業界で、絶対に成り上がってやろうという凄い意気込みなのだから、実際やる気ばかりはあふれんばかりで空回りしているほどだ。

川井社長もこれから組織を大きくしていくにあたり、この様な人物を求めているに違いないのだ。

但し川井社長の前ではやる気は見せても野心だけは心の奥深くに隠して置かなければならない。おそらく社長も大変な野心家に違いないのだから、自分と同じ野心の臭いがすると感じ取られてしまっては"組織を乗っ取られるのでは"と、心配されて、危険だと思われてしまう。この様な人物は、非常に疑り深く用心深いのだ。

そこはその様なワンマン社長には、純粋に尊敬と憧れの念を見せ、彼を慕っているように装いほんのわずかの野心の欠片さえも見せてはならないのだ。


面接にあたり、半年くらいマスコミ業界でのバイト経験がある事にした。松岡は学生の時に、電車などを主体にしたビデオの制作会社で半年ほどアシスタントディレクター等と言うとカッコよく聞こえるかも知れないが、いわゆる使いっ走りのような事をしていたらしい。電車のビデオとは、おそらくは幼児や鉄道マニアやファン向けの需要なのであろうか、よくは分からないが、一応そこで半年ほど経験を積んだのだ。広い意味で言えばそれもマスコミ業界の一種であろう。それを聞いて私は、それまで付き合っていたカメラマンはすでに日本のトップクラスで華々しく活躍していたというのに、それに比べて松岡は電車のビデオのアシスタントって、そのあまりの落差に眩暈がしてしまった。だがまあ、芸能界やグラビア業界とは何の関係も無いとはいえ、全くの嘘でもなければ、未経験者という訳でも無いのだ。マスコミ業界の経験者といった方が、全くの業界初心者と言うよりは、社長も安心するであろう。

 

この業界での足りない知識は、といっても松岡は業界の知識など全くないのだが、その知識は私が補って誤魔化すしかない。松岡を私の分身の様に私の持つ全ての知識を注ぎ込み、それらしく仕立てなければならない。


AV業界で成り上がるその第一歩として、とにかくLにマネージャーとして雇われるという第一関門だけは、必ず何としても突破しなければならなかった。その為には、万全を期する必要があったのだ。