超ウルトラスーパーAVアイドルプロダクション AV業界の頂点に立った男の真実の物語 9

私はさらに、これからの企みを壮大なスケールの話に当て嵌めた。夢の小金持ちライフを送れる様になれるかもしれないのだから、大げさでも何でもなく私達にとっては一世一代のチャンスなのだ。
このチャンスをモノにする為には、ここからが最も肝心なところだ。
その為には、松岡改造計画というか、ある意味、洗脳してさえも、その気にさせなければならないと思ったのだ。
そして成功したイメージというのは、大きければ大きいほど、実際の達成度も高くなるのだそうだ。
人材派遣会社を辞め、松岡と再会してから1年3ヶ月後、世田谷の会社の寮を出ていよいよ新宿の歌舞伎町のとなりに引越しをした。道を挟んで歌舞伎町なので、ほとんど歌舞伎町に住んでるといってもいい。これは新しく松岡が勤めるLと私の所属プロダクションが同じ新宿区という事や、マネージャー業務は勤務時間も長くなるので勤務先近くが良かったという事もあるが、一番の決め手は勿論、都心でありまた、歌舞伎町という、日本最大の歓楽街をも有する新宿という場所が、スカウトするのに絶好なスポットである為だ。
スカウトマンだって、大勢いる。
これからは松岡も、新宿を拠点に彼らに混じって女の子をスカウトしなければならないのだ。
実際にいつも彼らが、これほど身近な環境にいれば、スカウト活動にも慣れやすいだろう。《 習うよりも慣れろ 》《 朱に交われば赤くなる 》 はずである。
それに何より、二人の大きな夢を適えるには、最高の舞台をセッティングしたかったのだ。
日本一、人が集まる場所であり、一見華やかだが、歌舞伎町という歓楽街を抱えた怪しくミステリアスな一面もある、そんな混沌とした新宿という街で、何としても二人の夢の第一歩を、スタートさせたかった。
この様な理由から、私は、とにかく引越し先は、何が何でも新宿でなければならない、と思ったのだ。
これまでの飽き飽きした退屈な生活を、ガラッと変えたかったし、何より"これから新宿という街に住む"というだけで、ドキドキ、ワクワクとした刺激的な毎日が、待っている気がした。

転居先のマンションは、今後の私達の夢を叶える為の拠点となるに相応しい、ちょっとその家賃には見合わないような立派な建物だった。
大通りに面しているし、立地も最高である。不動産屋が、かなり値引きをしてくれたのだ。その理由はおそらく同じ階にある、とある事務所であろう。だがとにかく歌舞伎町近辺では一番造りが良いそうである。
それまで住んでいた世田谷の寮とは場所も建物も大違いである。
それまでの私達からすれば、ここはまさに、これ以上は望めないほど、これからの夢を叶える為の最高のシチュエーションであり、テンションも自然と上がってくる。

さっそく松岡と、歌舞伎町からスカウト通りを抜けて新宿駅の方まで散歩をした。
スカウト通りでは、その名の通り、大勢のキャッチやスカウトマン達が、まるで獲物を狙うかの様に、今か今かと女の子に声をかけようと、目を光らせていた。そんな彼らの横を、観察しながらゆっくりと歩いてみる。
ようやく夢の第一歩に近づいたのだと改めて実感してくる。
いよいよこれからが、新たなスタートなのだ。

転職した松岡は、毎日ニコニコと嬉しそうに、顔を輝かせながらその日の出来事を私に語った。
松岡は、その給料や待遇や、また川井社長というのがかなり魅力的な人物だという事もあり、それまでいた一般社会とはガラリと変わって芸能事務所の華やかな世界に移り環境が変わり、すっかりその状況に満足してしまっていたのだ。

私は非常に危機感を感じた。Lへの転職は、この世界で成功する為のほんの序の口に過ぎないのだ。
私の考える成功は、ずっと先にあるのだ。だけど手を伸ばしたら、掴めそうなところにあった。こんなところで満足して、ボヤボヤしている時間などないのだ。

なにしろこの業界では、スカウト出来る間にプロダクションとしてある程度の成功を収めれば、その後も続けられるかもしれないが、その間に成功出来なければ後がないのだ。
もし成功出来たら数年の間に荒稼ぎをしてさっと辞めてしまってもいい。
いずれにしても、後数年しか残されていないのだと思った。私は焦った。
松岡を今の状況で満足させず、とにかく私と共にAV業界で成り上がって金儲けをしてもらわなければならなかったのだ。

このままでは現状に満足してしまい、私と一緒に冒険する気にはならないだろう。