超ウルトラスーパーAVアイドルプロダクション AV業界の頂点に立った男の真実の物語 10

松岡に、改めて今一度成功のイメージングをさせ、意識を変えなければならない。私は、松岡の意識改革と、上司との付き合い下手を克服させる為、司馬遼太郎の"豊臣秀吉"という小説を松岡に読ませ、川井社長を織田信長、松岡を秀吉に例え、エピソードのお気に入りの場面を、私が信長、松岡が秀吉の台詞を声に出して読みあい、信長を出し抜いて、いつか必ずこの世界で天下を取ろうと二人で誓いあった。

はっきり言って、秀吉と松岡では大違いもいいとこであるが、また、こうすることで秀吉の信長への間合いの取り方を学び掴んで欲しかったし、松岡をその気にし、乗せる為でもあった。学生時代、部活動にも属していなかった松岡は、周りに先輩もいず、上司や先輩との付き合い方が苦手というよりは、全く分からないらしかった。
歴史小説というと難しく堅く思われがちだが、司馬遼太郎の小説は、本を読むのが苦手な人にも分かりやすく、読みやすい、それでいて面白くて引き込まれた。
“親方様”、“猿”等と言って大昔の歴史小説を読み合うのは、何だか馬鹿らしい様な、気恥ずかしい様な気もするが、日本史上、秀吉ほど成り上がり、下克上を遂げた人物はいないし、まさに私達の目指す成り上がりのナンバー1なのである。やはり教材にするなら、志し高くナンバー1の至高のものを求めたい。そしてAV業界で戦国大名の様に、いつか成り上がるのだ。なにかチグハグな気もするが、仕方がない。また現代にも通じるものがあると思ったのでこうして最高のお手本を、実際に声を上げて読み合う事で、《人たらし 》と呼ばれ、信長にあそこまで重用された人物である秀吉の、上司との絶妙な間合いを学び取って欲しかったのだ。

これからが最も肝心なミッションである、川井社長からAVプロダクションの成功の秘訣を引き出し、その秘密を探り出さなければならないのだ。事務所に転職したはいいが、その後肝心なところは何も教わらずに、ただの付き人の様な扱いをされてしまっては、私達の夢が遠のき、計画が崩れかねない。それにワンマンな人というのは、いつ気まぐれに気が変わり、嫌われてしまうかも分からないのだ。
それに、この業界でナンバー1になった成功の秘訣を掴めなければ、わざわざ有名企業を辞めてまで転職して来た意味がない。
まずは川井社長に気に入られて、ナンバー2にならなければならないのだ。秘密を引き出す前に、上司との付き合い方や、間合いが下手で避けられてしまったり、嫌われてしまっては一巻の終わりだ。