超ウルトラスーパーAVアイドルプロダクション AV業界の頂点に立った男の真実の物語 11

上手く気に入られてナンバー2になり、社長の気分が良い時や、酔った時を見計らって、さり気無く大事な事を聞き出す。また、仕事のさまざまな交渉に松岡にあたらせてもらう。
そうして川井社長から、全てを引き出すのだ。それまではただひたすらに、従順に川井社長を尊敬する、可愛い部下を演じなければいけない。警戒されたらお仕舞いだ。
それまでは、野心のかけらも見せてはならないのだ。

上司や先輩との間合いは、いくらざっと本を読んだところで簡単に掴める物ではなかった。これを何とか克服するために、私がコーチになって指導する他はないのだ。
とにかく彼が仕事で成功するまでは私がコーチで彼を生徒だと思って指導していこう。
恋人気分でいたら、甘えが出て、緊張感もなくなり、目的も果たせない。

私は、彼に会社を辞めさせ、この業界に引っ張った責任が、重く圧し掛かっていた。
野心家である私にとってもだが、やはり男性にとって、人生における何より大事な事は仕事だろう。
彼に、人生を転落させる事は出来ない。
男性にとって仕事とは、恋愛などのあやふやな、形のない目には見えないものよりも、ずっと大事なものだろう。AV業界で成り上がるという夢がある程度叶うまでは、この際恋人気分は、一旦封印して厳しく指導していこうと思った。
そうして私達は、この信長と秀吉になりきり台詞を読み合うという小芝居を、あきれるほど真剣に熱心にこなし、秀吉の間合いの上手さと、司馬遼太郎の文章の分かりやすさ、読みやすさに改めて感心した。

またその他にも《戦国大名の部長たち》という、これまた戦国大名に仕える中間管理職の部長クラスの武将の、上司との付き合い方が面白く、これもまた教材にした。
とにかく川井社長から成功の秘訣を早く引き出すには、こうした基本が最も大事なのだ。

あとは松岡が、社長にいかに気に入られ、素早くナンバー2として重用されるかにかかっているのである。社長から全てを引き出してからが、ようやく私達の成功への第一歩となるのだ。